-17- いったりきたり。
「明後日、転院できるそうです。すぐに検査をして、なるべく早く手術も段取りしてくれるそうです。」
後で聞いたが、事前に連絡は一本していたそうだ。
ありがたい話だ。
とてもスムーズに転院ができそうだ。
覚悟は決まった。
専門家中の専門家に全て委ね、がんを克服しよう、と。
…………………。
夜。
早期発見じゃなかった。
もし…転移していたら……。
小腸がんの5年後生存率20%…。
見つかるときは大体転移している…。
5人中4人が、死ぬ。
頭から離れない。
気にしないようにしても、離れない。
女々しいと言われればそれまでだけど、気になるものは気になる。
「見る限りでは」
「今の時点では」
そんな但し書き付きが気になって仕方なかった。
転移=アウト、ではないことはわかってるけど、転移した場所が問題なのはわかってるけど。
ほんの少し前まで、自分の人生とは無縁。可能性なんてゼロだと当然に思っていた。というより、一瞬たりとも考えもしなかった。がんへの不安、恐れ、ストレス。
息子、まだ生まれて3ヶ月だよ…。
かわいくてしかたない息子。
成長を、見ていたいなぁ…………。
もしかしたら、見れなくなるのか………いやだなぁ………………。
目の前が滲んでくる。
……………。
転院の、朝になった。