そして新米パパは小腸がんになった。

働き盛りの30代、長男生まれて2ヶ月後、新米パパは小腸がんになった。がん患者の日常と心情を徒然なるままに綴るブログ。

-83- 願わくば。

「歩く」という漢字は、左右の足跡の形が成り立ちらしい。

 

歩くといえば、僕は夕暮れ時の閑静な住宅街をのんびり歩くのが好きだ。夕御飯を作る音や匂い、窓から漏れるTVの音、子供のはしゃぐ声、お母さんの叱る声。一軒一軒の家に人の生活が感じられるあの雰囲気が好きだ。

 

 

 

息子が、歩いた。

 

たどたどしく、一歩、二歩。

 

一年前息子が生まれたとき、この子が歩いたら僕は号泣するかも知れないな、と思っていた。

 

号泣しなかった。

 

なんとも複雑な心境だった。

 

嬉しくもあり、微笑ましくもあり、不安でもあり。たぶん皆そうなんだろう。

 

僕が生きてきたこれまでのこと。

幼稚園、小学校、中学校、高校、浪人、大学、社会人、転職、結婚、病気。

文字にすれば平凡で、こんなもんだけど、一つ一つは果てしなく楽しく、しんどいことで一杯だった。いや、病気はしんどいだけだな…。

 

 

 

この世界に、この子は今足を踏み入れた。

 

いや、どんな人生になるかはわからない。全然違う人生かも知れない。

 

後悔だけはしないように。岐路に立つ度、よーく考えて。楽しいことがたくさんあるし、しんどいことも同じくらいたくさんあるだろう。

パパはいつでも相談に乗るし、君の味方だ。

 

 

願わくば、それが素敵な人生でありますように。

 

パパ、目一杯生きないとね。