そして新米パパは小腸がんになった。

働き盛りの30代、長男生まれて2ヶ月後、新米パパは小腸がんになった。がん患者の日常と心情を徒然なるままに綴るブログ。

-5- 左から右へ。

詰まってたのか……。

 

はりきって摂ってた水分が溜まりに溜まって小腸から胃まで逆流。そりゃ吐くわ。

言われてみれば、その頃になると出すのは下からでなく専ら上からばかりになってた。

 

緑色なのは腸液の色だって。

自分の体の中にこんなピッコロさんの血みたいな液体があったなんて。それを口から吐いていた自分は完全にただのピッコロさん。

 

レントゲン1枚ですぐわかるならもっと早く撮っていれば……まあ、しょうがない。

 

「胃まで水が溜まってるので、管入れて吸い出す必要があります。胃まで管入れますね。」

 

それって胃カメラってやつと同じことですよね?生まれて初めての胃カメラだわ。誰もが嫌だ嫌だと言う胃カメラ、僕もなんとなく嫌だと思ってた。それが心の準備もできないタイミングで……あ、もう管の準備できてるのね。はいはい、やりますやります。

 

ふがっ、ぐげげげげっ。

 

おえー。

 

先生が手馴れた手つきで右の鼻の穴から管を胃まで突っ込んだ。

 

鼻から管が出てるって、ドラマでしか見たことなかった。いや、正確には見れていない、自分から出てるんだから。

目の前に管があり、目の前を早速緑色で中に正体不明のワタが混じった液体が左から右へスルスル流れていくのがバッチリ見える。見たくはない。でも見える。

 

鼻から喉の違和感半端ないわー。

まあ、腸液全部吸い出せば外せるだろう。暫し我慢我慢。

 

その見通しがびっくりするぐらい浅はかなものだったと気づくのはその翌日ぐらいだったが。

 

「とりあえず胃まで管入れたけど、効果が薄かったら腸まで管入れますから。」

 

そうなのかー。

まあ、胃カメラと同じ管を飲んだ自分だ。腸まで入れるって言っても同じことでしょ?いけるいける。

 

 

その見通しが戦慄するほど浅はかなものだったことに気づくのはその3時間後ぐらいだった。