-39- 真ん中の線。
術後の精密検査の結果が伝えられる日が、あと1週間に迫っていた。
手術の後、先生談。
「手術で切り取ったものを徹底的に検査する。結果がどうあれ、早期発見ではなかったから、細胞レベルでがんが散らばっている可能性はある。どちらにしろ抗がん剤はやった方がいい。期間は、たぶん半年ぐらいになるかな。」
結果はもちろん気になる。
気になるけど、いつからか自分の体に対して、いい意味なのか悪い意味なのか、諦めというか妙に客観的に見るようになっていた。入院中痛い目に遭いすぎたからかな。なるようにしかならないなら、受け入れてその時最善の手段を取るしかないのだろう。
ここでダメならもうダメなんだろうと開き直れる先生と病院に、幸運にも巡り会えたからだろう。信頼関係がない場合は、さぞ大変だろう。不安で不安で毎日まともな精神状態じゃ過ごせないだろうな。
目の前の日常は本当に平和だ。
親子3人で川の字で寝る。よくある表現だけど、ホントに川の字で寝るもんなんだなー。超短い真ん中の線が、どーんと小さな大の字を描いている川の字。
横を向けば小さな息子と奥さんの寝顔。
幸せ過ぎるわ。
この生活がずっと続きますように。