そして新米パパは小腸がんになった。

働き盛りの30代、長男生まれて2ヶ月後、新米パパは小腸がんになった。がん患者の日常と心情を徒然なるままに綴るブログ。

-21- トモダチ。

さすがの専門病院。内視鏡検査だけを行う大きな病棟がある。

点滴とイレウス管を引き摺りながらフラフラしばらく歩いて移動。大腸カメラはここのところ週1ペースでお尻に入れていたので、綿棒でも耳に入れるかのような気楽さだった。

 

世の中そううまくいかないものである。

 

なんか、前の病院のより、太い…?

太いような気がする。あ、苦しいかも。うん、これ苦しい。

 

ぷすーーーっ

 

空気が抜ければ楽に…     ならないな、これ。

いや、僕は大腸カメラにプライドを持っている。大腸カメラはトモダチだ。耐えてみせる。

 

あの、あとどのくらいかかります?

 

「ちょっと長めに見ていきたいんで、あと20分か30分ぐらいですかね。もう一人先生が後から来ますし。」

 

げっ、30分?!

 

…………。

 

トモダチが牙を剥いてきたら、どうすればいい?

 

………………。

 

これまでどんな検査のときも色々と何かを捩じ込むときも、麻酔は一切使わなかった歴史の重みを噛みしめつつ、その重みをかなぐり捨てることにした。

 

あの、ちょっと30分は無理かもしれないです…。

 

「じゃあ、麻酔しちゃいましょう。」

看護師さんがササっと準備して、手早く注射を打たれたと思ったらもう寝ていたようだ。どんだけ麻酔が効きやすいんだ。目が覚めたらもう終わっていた。あらやだ、何だか恥ずかしい。

こりゃ手術のときも麻酔は問題なさそうだ。

 

 

 

 

相変わらず不安はあった。

 

前の病院では、リンパ節は腫れているが今のところ、見た限り、転移はしていないと言われた。

この病院のCTは最新式だという。しかもCTも大腸カメラも、がんに長けた何人もの医者が転移していないか全力で見てくるわけだ。

 

そしたら、見つかっちゃうんじゃ……?

 

いや、転移してるなら見つからなくちゃいけないんだけど、それはそれで恐ろしいことであって…。

 

 

次の日の朝、先生が病室に来た。