そして新米パパは小腸がんになった。

働き盛りの30代、長男生まれて2ヶ月後、新米パパは小腸がんになった。がん患者の日常と心情を徒然なるままに綴るブログ。

-8- 壊れかけの羞恥心。

栄養だけじゃなかったのか……。

 

点滴は液体なのだから気づいていいものだが、それだけイレウス管が痛くて冷静でなかった。ということにしておこう。

 

 

看護師さんが朝食を配り始めた。

絶飲食の自分にも間違って配られないか少し期待したがそんなことは全くなかった。

 

採血した後、今日は午前中に大腸カメラをやると言われた。

 

そうか……今、上から管が突き刺さってるのに、さらに下からも突き上げるのか。

 

もうどうにでもしてくれ。

 

人間ドックをしたことのない僕には、大腸カメラは当然初体験。

 

浣腸も初体験。

 

「はい、このまま3分から5分我慢して下さいね。」

 

看護師さんが優しく厳しいことを言う。

 

無理無理、1分ももたない。トイレにゆっくり駆け込む。でも1週間食べてないから何も出ない。

完全にやられ損じゃないか?

 

 

車椅子で内視鏡検査室へ。

狭めの部屋に、歯医者さんでかかっているようなBGMが流れている。患者さんをリラックスさせるためですね?ということはやっぱりこの部屋ではただならぬことが起こるということですね?

 

看護師さんは…やっぱり女性なのね。

羞恥心というものはどこかに置き忘れなければいけないことが、さっきの浣腸の時から薄々わかりかけていた。

 

「はい、仰向けのまま足を曲げて下さいね。ちょっと塗りますね。はい、じゃ入れていきまーす。」

 

おおぉぉ〜

 

変な感じ。

 

「はい、じゃそのまま体横に向けてくださーい。」

 

イレウス管のような有無を言わさぬ痛みはない……が、時折何とも切ない痛みがお腹を襲う。あれだ、トイレに駆け込みたい痛みだ。これはこれでなかなか厳しい。

 

ぷすーーーーーっ

 

ガスを出すと楽になる。

大丈夫だ。羞恥心はもう置いてきた。

 

「今、大腸の奥まで来ましたよ。この辺りから炎症があるね。これから小腸に入って行くけど、ここからいくつか生検していきますから。」

 

はい、もういくらでも切り取って下さい。

 

そんなこんなで大腸カメラは終わった。

うん、別に苦手じゃないな。やりたくはないけど。

 

後日、あと2回も挿入されることになるとは、この時は知る術もなかった。