-86- 嵐の前の静けさ。
その日は18年のGWの半ば。
がんが見つかってから、ちょうど1年3ヶ月が経った。
まだ1年しか経ってないのか…。
2、3年は経った気がする。
ほぼ、息子の年齢=闘病期間、てことだ。
いつも通りの通院治療だけど、その日は3ヶ月に1回のCTも撮った。毎度だけど、CTはドキドキする。
「ちょっとあんまりよろしくないですね」
えっ、ドキッ。何がですか?
「抗がん剤の副作用で足に血栓が出来ていて、その極一部が肺に飛んでいます。肺血栓ですね。これほっておくとマズイです。ある日突然詰まって呼吸困難とかになります。見つけてしまったからには今日このまま帰すわけにはいかないので、緊急入院できますか?」
はあ。
「あと、右の腎臓の機能が弱ってますね」
そうなんですか?おしっこよく出てますけど…。
「血液検査の結果で下がっちゃってるんですよね…画像で見るとここなんですが、これ、腹膜でちょっと大きくなってきたがんが右の腎臓に巻き付いてる感じになってるのわかりますか?まあ、腎臓は一つでもやっていける臓器ではあるんですが、今後の治療を考えるとここで腎臓から尿管の詰まりは治しておいた方がいいと思うんです。この処置もついでに入院中にできれば」
そんなわけで、GW真っ只中にまさかの入院。
まあしょうがない。基本的に血液サラサラのお薬飲んで寝てるだけだっていうし。
あんな、男性諸君にとって身の毛もよだつ恐ろしきことが巻き起こるとはまだ露知らずに……。