そして新米パパは小腸がんになった。

働き盛りの30代、長男生まれて2ヶ月後、新米パパは小腸がんになった。がん患者の日常と心情を徒然なるままに綴るブログ。

-76- 見た目ではわからない 其の2。

「がん患者は働かなくていいんだよ」

 

ある議員の発言を僕が聞いたのは、告知されて転院した二日後のベッドの上で見たテレビだった。

 

そうか、がん患者は働かなくていいのか。

 

 

んなわけあるかっ。

 

働かないと数ヵ月で破産だわ。

 

告知を受けてそれなりのショックを受けた後、リンパ節への転移の不安とか手術への不安で頭が一杯だった時期。脳内では、いい方向と悪い方向を同時に何度もシミュレーションされていた。

悪い方向はまあ置いといて、いい方向になったとして、果たして今まで通り働けるのか?

 

 

 

毎日のように有名人のがんに関するニュースが飛び交う。

がんであることを公表して闘病する人、公表しないで亡くなって初めてがんであったことがわかる人。

 

 

がんであることを周りに伝えるか否か。

これはとても難しい問題だと思う。

 

特に、仕事をしながら闘病する人は。

 

リタイヤしている人、十分に資産のある人は、公表するかしないかは単に本人の気持ちの問題だけだと思う。

なので、有名人のそれは、本人のポリシーの問題だ。好きにしたらいい。

 

問題は、働かなくては生きていけないがん患者だ。

僕は勤め人なので、勤め人の視点からしか書けないが。

 

今まで通りに働けないことを同僚や取引先に疎ましく思われないか。

仕事を回してもらえなくならないか。

休みが多くなるとクビになるのではないか。

 

僕のように抗がん剤治療を無期限でずっと継続して行い、寛解期が来ることもなく休薬期間もないがん患者にとって、もう二度と今まで通りに働けないことは避けられない現実だ。

一度今の仕事を失えば、がんであることを伝えて転職することは至難の技だし、隠して転職しても体調不良が多ければ会社にはいられなくなるだろう。

今の会社を辞めて転職に失敗すれば、地獄しか待っていない。

 

そうなると、今の会社にいて、伝えるか伝えないかの2択にしかならない。

 

 

つづく。