-57- 医療行為。
無事ポートが埋め込まれ、オキサリプラチンとフルオロウラシル(5FU)をポートから投与する。今回は初めてポートからの投与なので、そのまま入院しながら投与する。
腕から点滴の針を刺すより、ポートに刺す方が圧倒的に痛くない。もう慣れっことはいえ、やっぱり注射は痛い。痛いもんは痛い。
オキサリプラチンは相変わらずの2時間。
5FUは……46時間。
フォーティーシックス。
坂のアイドルかっ。
140錠のゼローダと46時間の5FUのどっちを長いとみるか。
どっちでもいいや。
生きるためならね。
ペットボトルのような容器の中に、風船が入っている。その風船の中に5FUが入っている。風船が萎んでいく力を利用して、少しずつ薬がポートから体に入っていく寸法だ。ペットボトル(断じてペットボトルではないが、面倒なので以下ペットボトルと呼ぶ)を袋に入れて首から下げて、ひたすら風船が萎むのを待つ。特に行動は制限されないので、好きに動き回ってよい。
これなら46時間かかっても、病院でなく自宅で投与できる。
終わったら自分で針を抜かないといけないので、その練習も兼ねてとりあえず初回は入院しながら投与する。
少ーしずつ少ーしずつ風船が小さくなる46時間の間、看護師さん達が代わる代わる様子を見に来ては、首から下げたペットボトルにマジックで時間毎に風船の大きさの印を付けていく。
看護師さん達に寄って集って寄せ書きされているみたい。ふふふ。
めっちゃ人気者みたいだが、ただの医療行為。
2日後、風船が萎みきって終了。
これを、2週間に1回。
こりゃ、しんどいな。
しょうがないね。
生きるためならね。