-49- がん患者は働かなくていい。
がん治療にはお金がかかる。
僕の場合、健康保険と高額医療費使っても、月6万円は避けられない。
年間72万円。突然年収が72万円下がったようなもんだ。それと、残業しにくいなどで働ける時間も少なくなるから、現実に年収は下がる。
がん患者は働かなくていいんだよ、と暴言を吐いて問題になった政治家がいたけど、がん患者は働かなくてはいけないのだ。
がんであることを会社に言わない人も多いという。言ったら閑職に追いやられるか、酷ければクビになると。
僕の場合は、会社に全部言った。
幸いにして、ウチの社長は超人情家。涙を浮かべて、仕事のことは何も心配しなくていいと言ってくれた。
ウチは社員150人程のワンマン経営中小企業。社長の僕への「いのちだいじに」コマンドが下されたからには、全社をあげて僕を何かと労ってくれる。
発病前は馬車馬のように働かされる正直、色的にアレな色の会社なのかな?と思っていたが、今、つくづくいい会社に入っていたんだと実感している。
だがしかし現実はそう甘くない。
復帰直後は副作用の体と仕事の疲労になかなか対応できず、かなり欠勤してしまった。有休は通院時に使うので、残り少ない有休を節約するために欠勤にせざるを得ないのだけど、欠勤という名の給料激削りマシーンには戦慄するしかなかった。要はズル休みと同じだから、基本給職能給はもとより、あらゆる手当が日割りで削られる。役職手当、住宅手当、通勤手当や家族手当まで削られる。そこから社会保険(標準報酬額で計算してるので給与が減ったことなどお構いなしの容赦ない金額)、所得税、住民税(前年の給与で決まるので容赦ない金額)が引かれ、見るも無惨な手取り金額が残る。
家賃と光熱費と医療費と生活費を払わなければいけない。
どう考えても赤字。
がん特約と通院治療の保険に入っていなかったツケがこれから一生毎月のしかかる。
がんで死ぬ前に医療費に殺される。
打開策はただひとつ。
休まず仕事して、残業しっかりして稼ぐこと。
副作用がキツイ?
知ったことかっ!
パパ、がんばるよっ。