そして新米パパは小腸がんになった。

働き盛りの30代、長男生まれて2ヶ月後、新米パパは小腸がんになった。がん患者の日常と心情を徒然なるままに綴るブログ。

-44- 時代劇でよくある。

【高額療養費制度】

同じ月に同じ医療機関で支払った医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、その分が払い戻される制度。例えばサラリーマンの場合、かかった医療費の3割が自己負担だが、この制度により負担の上限が設けられる。自己負担の限度額は、一般所得者は、8万100円+総医療費が26万7000円を超えた部分の1%。

 

 

 

時代劇でよくある風景。

薬が高くておっ母の病気を治せない。

 

現代の日本ではあり得ない風景、と思っていた。

 

3週間に1度、点滴でアバスチンとオキサリプラチンを投薬。2週間朝夕1日2回、飲み薬でゼローダを投薬。

 

これを1回として、1回あたりのお値段。

 

31万円。

 

 

ふんふん、と説明を聞いていたが、内心目玉が飛び出るほどビックリしていた。

 

 

安心して下さい。健康保険が効きますから。

 

そうでしょうそうでしょう。

 

15万円。

 

 

ほうほう、半額になるんですね。これはお得だぁ。

…ってまだ高すぎるわっ。

 

 

大丈夫です。高額療養費制度が使えますから。

 

本当に大丈夫なんでしょうか。

 

8万円。

 

う、うーーーん。

 

だいぶ安くはなったけど、まだ高い…。

 

 

もう一声っ。

 

…もう一声はなかった。

 

 

と、思ったら後から病院の相談センターで聞いた。

高額療養費は限度額の8万円が3ヶ月続くと、翌月から4万円になるという。ただし、1医療機関につき4万円。点滴は病院、飲み薬は薬局でもらう。病院で限度額の4万円、薬局で2万円払うのだが、結局1回の投薬で6万円かかる。もしタイミングで月2回投薬するとお得になる。

 

 

医療保険には入っていたけど、入院と手術だけ。通院やがん特約はつけていなかった。

 

これから一生続ける抗がん剤治療は、全て自費でやるしかない。

これ、月6万円いきなり負担が増えたら、人によって生活崩壊するでしょ。ウチだって月6万円は致命的な金額。まして、今まで通りに働ける保証は何もない。

 

がん特約つけてなかったからいけないんだと言われればそれまでだけど、たまたまつけてなかっただけでこうなるのって、何とかならないのだろうか。

日本人の2人に1人ががんになるんでしょ?

抗がん剤の価格自体を下げようという動きにはならないの?

お金がなくて治療できなくて死ぬ人もいるのでは?生活保護受ければいいと言う人もいるけど、確かに高齢者ならいい。30代で生活保護になって、その後どんな人生を送ればいい?

抗がん剤治療について話題になるのは、標準治療ではないさらに高額な先進医療を受ける人についてだけ。

そもそも標準治療すら受けるお金がない人についてのニュースは、皆無。

 

なぜだろう?

 

 

 

一通りの説明を受けて、僕らは診察室を後にした。

1週間後、初めての投薬をすることになった。