-41- 二度目の…。
本当によく寝る子だ。
学生時代、友達の下宿の玄関で平気で寝ていた自分の血を受け継いでいるだけのことはある。待合室にいる間も基本的にスヤスヤ寝てくれていた。
前回先生に、今度の説明は奥さんもいた方がいいと言われたので、もれなく6ヶ月の息子もついてきた。
「◯◯さん、16番にお入り下さい。」
呼ばれた。
「結果が出ました。」
CTの画像を動かしながら、先生が続ける。
「お腹の周り、腹膜に拡がったがんが、既に3ミリ程の大きさになっています。」
「数が多いため、これらは手術では取り切れません。抗がん剤で治療していきます。」
「これが非常に重要なお話なのですが、抗がん剤治療を行ったとしても、このがんが消えることは恐らくありません。これ以上大きくならないようにする、小さく抑えていくための治療になります。」
「抗がん剤治療の期間は、無期限ということになります。」
さすがにショックだった。
無期限。
それは一生ということですか?
「恐らくそういうことになります。」
「場合によって、もし画期的な治療法が開発されたりすれば話は別ですが。少なくとも今の技術では…。」
抗がん剤治療→がんが消える→再発しないことを祈る
という道ではなく、そもそもがんが消えることがない。再発とかそういう問題ではない。
あの、でも、直ちに命がどうこうってわけでは………
「もちろんありません。きちんと薬が効いてがんを抑えていければ大丈夫です。」
どう付き合っていくか、ということですね。
「そういうことです。」
息子は少しぐずったが、また目を閉じていた。