そして新米パパは小腸がんになった。

働き盛りの30代、長男生まれて2ヶ月後、新米パパは小腸がんになった。がん患者の日常と心情を徒然なるままに綴るブログ。

-40- 目に見えない。

こんなにデカいのか…。

 

転院したときは車でぐったりしながら来たし、入院中は1度も外出しなかったし、退院のときも車でさっさと出たから、外から病院を見たことがなかった。

 

1ヶ月振りの病院。

今日は術後精密検査の結果を聞く。これからどうするのかを聞く。奥さんも来たがっていたけど、あんまり赤ん坊連れてきたくないから、お留守番しといてもらった。

 

外来の待合室も初めてだ。

この大勢の人達みんな、がんなのか。

 

60代ぐらいの夫婦が診察室に入っていった。

10分程で出てきた。

「よかったねぇ。ほんとによかった。」

奥さんが旦那さんの背中を擦りながら言う。

いい結果が出たんだろう。

自分もそうありたいもんだ。

 

 

「◯◯さん、8番にお入り下さい。」

 

呼ばれた。

 

入ると、執刀してくれた外科の先生が座っていた。

 

「どうですか?傷の方は大丈夫ですか?」

お陰さまでだいぶ楽になりました。

「うん。キレイな傷だ。大丈夫ですね。」

「…例の、手術のときに腸からちょっと離れた場所にあったモノを切り取ったっていう話はしてるよね。それが何なのか調べました。」

「やっぱり、がんだったよ。」

「がんが広がっている最中だったのか、食い止められたところなのか調べるって話したと思うけど、広がっている最中だったという結論になった。」

「小腸が原発のがんだと結論づけた。」

「目に見えるがんは手術で全部取ったけど、恐らく確実に、目に見えない細胞レベルで腸周辺にがんが転移している。これから抗がん剤治療に移らなくてはいけない。」

「人によっては、抗がん剤はやりたくないって言う人がいる。それはその人の考え方だから、医者が強制することはできないんだけど、◯◯さんは、まだ若い。小さなお子さんもいる。ぜひ抗がん剤をやってほしい。いや、やらなくてはいけない。やらないと………ね。」

 

色んな写真を見せながら、先生はゆっくりじっくり説明してくれた。

どっちにしろ抗がん剤治療が必要なことは覚悟していたので、そこまでショックは受けなかった。問題は2つ………。

 

リンパ節の転移はないんでしょうか。

 

「正直、がんが体を巡っている可能性はゼロではない。だから今のうちに抗がん剤で全体的にがん細胞を殺していく必要がある。」

 

期間はどれくらいになるんでしょうか。

 

「前に半年ぐらいって話したと思うけど、状況が変わってきたかもしれない。今後抗がん剤治療は、外科の僕ではなくて、消化器内科の先生に引き継ぐ。日本で数少ない小腸がんの第一人者の1人だよ。彼に任せておけば大丈夫。この後その先生に診察を受けて話をしてもらうことになっている。期間がどのくらいになるかは、彼から聞いて欲しい。」

 

本当にお世話になりました。

深々と頭を下げ、お礼を言って診察室を出た。

 

 

しばらくして…。

 

「◯◯さん、16番にお入り下さい。」

 

呼ばれた。

 

まだ若そうに見える、体格のいい先生が座っていた。

「よろしくお願いします。◯◯先生から話は聞いています。これから一緒にがんばっていきましょう。」

「今日この後、採血とCTを撮ってもらいます。その結果を診て、抗がん剤の中でもどの薬を使っていくか検討します。ちょっと時間が必要なので、来週のこのぐらいの時間にもう一度来てもらえますか。その時、今後の治療の詳しいところを説明するから。」

 

 

 

 長い長い、第2ラウンドが始まろうとしていた。