そして新米パパは小腸がんになった。

働き盛りの30代、長男生まれて2ヶ月後、新米パパは小腸がんになった。がん患者の日常と心情を徒然なるままに綴るブログ。

-24- 生きてるだけで幸せ。

「小腸の終わりの部分に、腺がんが原因の大きな悪性腫瘍ができています。回盲部にも炎症があるので、がんそのものだけでなく、この周辺を根こそぎ取り除いて、小腸と大腸を繋げます。がんに近いリンパ節は必ず切除します。かなり大規模に取り除くので、30センチぐらいはお腹を切ることになりますね。」

 

ナースステーションの隣の面談室。

先生がCTの写真を指差したり絵を描いたりしながらゆっくりと説明してくれているのを、僕、奥さん、父親の3人は写真と先生の顔を交互に見ながら頷く。3ヶ月の息子は母親と一緒に車の中でお留守番。

 

「手術前の説明は、厳しいことも伝えなくちゃいけないもので。これから話すことはあくまで可能性があるってことですが、聞いておいて下さい。」

 

「腫瘍の場所はわかっていますが、細かいがんが実際どう広がっているかは、お腹を開いてみないとわからないところがあります。」

「懸念されるのは、がんが小腸から見て体の前の方や、小腸の他の部分に広がっていた場合です。手術で取りきれない程散らばっていたら、残念ながら取れるものだけ取ってお腹を閉じて、あとは薬で何とかしていく治療に移ることになります。」

「それから、散らばり具合によって取り除く場所も変わるかもしれません。そうすると場合によっては、ストーマを付けることになるかもしれません。」

「あと、どうもCTで見ると背中の方まで腫瘍が達しているかも知れません。そうなると、背中にある筋肉や神経も一部切除します。その場合、歩行するのに支障が出て松葉杖になるかも知れません。」

 

松葉杖になった場合、リハビリすれば元に戻るんでしょうか。

 

「手術して切り取ったものは、元に戻ることはありません。切り取った筋肉は元通りにはなりません。厳しいようですが、手術とはそういうものです。」

 

「長い絶飲食やイレウス管にも耐えてくれて、ご本人はとても頑張ってくれています。我々も全力であたります。もう一息、一緒に頑張りましょう。」

 

先生は変わらず、力強く握手をしてくれた。

決して派手な印象はない先生だが、言葉も握手も力強い。自分のことを手術屋と言って、がんの外科治療に対して自信に満ち溢れているが、全く嫌みな感じはない。任せてよいプロだ。

 

 

つまりは開けてみないとわからない要素が多いということだ。不安は不安だけど、ここまでくると悲壮感はなくなってきた。どのみちこのままじゃ死ぬのを待つだけなのだから。やってやるしかないじゃない。

 

ただ、やっぱりストーマや松葉杖は……。

もしそうなったら、気持ちの整理をつけるの大変そうだな。生きてるだけで幸せだ、というのはもちろんそうなんだけど。

 

"生きてるだけで幸せ"って、健康な人がよく言うセリフだなぁ。一生モノの何かを背負った人が言うには、大きなものを乗り越えた後でなければ、とても言えないセリフだと、今思う。