そして新米パパは小腸がんになった。

働き盛りの30代、長男生まれて2ヶ月後、新米パパは小腸がんになった。がん患者の日常と心情を徒然なるままに綴るブログ。

-15- 告知。

「急で大変申し訳ないが、今日、家族の方病院に来れますか?だめなら明日でもいいですが…。」

 

特急の生検から約1週間が経った日の朝、先生から聞かれた。

土日を挟んで1週間なので、本当に急いでくれたようだ。

 

まあ…そう聞かれた時点である程度は覚悟していた。

 

覚悟はしていたが、

もしかしたら違うかもしれない

それは頭の中に常にあった。

 

 いいパターンと悪いパターンの、それぞれのこれからを頭が勝手にシミュレーションする。いいパターンだと、この後薬で炎症治して2週間ぐらいで退院かぁ。

 

悪いパターンだと……どうなるんだろう?

 

 

この間の小さな談話室。

先生は2人で、僕、奥さん、2ヶ月の長男、両親の合わせて7人がすし詰めながら静かに座った。

 

あ。長男は寝ていた。

 

「まず、今現在の症状を改めて説明します。」

 

小腸から大腸に繋がる部分、いわゆる回盲弁の周辺に炎症が集中している。大腸の入口にあたる部分と、小腸の出口にあたる部分に、それぞれに炎症、腫瘍が存在する。これらの腫瘍や炎症が腸を詰まらせて腸閉塞を起こしている。

これまでこれらの病原は、可能性が高い順に

クローン病

ベーチェット病

結核

サイトメガロ感染症

カンピロバクター

がん

を候補として検査してきた。

 

クローン病である可能性が一番高いと予測していましたが、そうではないことがわかりました。」

 

「がんです。」

 

 

…………。

 

「生検でがんの可能性を示す指標は、Group1〜5で示されます。1〜3は良性です。4と5は悪性、つまりがんです。」

「前回の結果で小腸にある腫瘍から4が出たため、再検査を行ったところ。」

 

「5であるという結果が出ました。小腸の腺がん、小腸がんです。」

 

 

………………。

 

人とはおもしろいもので。

説明を聞いていた4人が皆そうだったのだが。症状の説明を聞くとき、うんうん、と頷きながら聞いていたわけだが、がんであることを告げられたときも、うんうん、と頷いていた。

当然皆、予感はしていた。本人達に聞けば、その瞬間は意外と冷静だった、と答えるだろう。

でもその瞬間も、うんうん、と頷いていたのは冷静ではない。言葉が入ってきているようで、入ってきていないんだ。どこか、他人事のような。テレビで芸能人ががんを公表するニュースを聴いたときのような。

 

まあ、そんな感じは本当にその一瞬だけで、すぐに他人事ではないことに後から脳がついてくる。

 

 

先生の話は続いていく………。