-14- 満員。
「下剤も浣腸もいらないですね。」
ええ。どうせ何も出ませんからね。
「はっはっはっ。」
はっはっはっ。
そんなやり取りから始まった朝だった。
2度目の大腸カメラはとってもスムーズ。大腸を突破し、小腸へGO。生検の数は前回の3倍、斬って斬って斬りまくる。
心無し、先生の口数は少なかった。
大腸カメラまでは何事もなかった。
大腸カメラまでは……。
現在、僕の鼻の穴の状況といえば、右の穴が満員だった。ここに、胃カメラさんもいらっしゃるという。
どこに?
左の穴に。
そう、あれはイレウス管を捩じ込んだとき、左の穴は狭いことが判明済みである。
だがしかし他に選択肢はないのだ。鼻の穴は2つしかないのだから。
「じゃあ胃カメラ入れていきますね。」
痛たたたたたっ
やっぱり狭い痛い。
「ああ、左は狭いんでしたね。ちょっと入口に痛み止め塗りましょう。」
痛み止まらないんですけど。だって狭いのは入口から結構中に入ったところだから。
それでも入れるしかない。なーに、イレウス管を耐えた自分なら何とかなるさ。たぶん。
痛たたたたたたっ
鼻が満員御礼だ。もう入らない。両の穴からぶっとい管が出てる様は、さぞ壮観だろう。
さらに厳しいのは、喉だった。
痛みが最小限の絶妙なバランスで喉に引っ掛かっていたイレウス管は、胃カメラに押しのけられた。管2本が喉でウロウロしている。その違和感と痛みは、なかなかのものだ。
先生、早く、早く見てください。とにかく早く胃の中見てください。
生検は特急でやってもらうようにすると先生が言っていた。今度は1週間ぐらいで結果が出るって。
その言葉通り、1週間後……。