そして新米パパは小腸がんになった。

働き盛りの30代、長男生まれて2ヶ月後、新米パパは小腸がんになった。がん患者の日常と心情を徒然なるままに綴るブログ。

-11- 別室。

病室ではテレビを見れたけど、食べ物が映った瞬間チャンネルを変えるので忙しかった。夕方のニュース番組は半分はグルメ番組なので、前半しか見なかった。

 

絶飲食は2週間を過ぎた頃がピークで、とにかく食べ物飲み物を見るのが嫌だった。匂いも音も嫌だった。

 

食事の時間になるとお隣からいい匂いと音が漂ってくる。

地獄だ。

 

この世の全てが絶飲食になーれ。

 

そう不貞腐れていた。

 

ところが人間とは不思議なもので、絶飲食も3週間を越えると今度はとにかく料理の映像や写真が見たくて仕方ない。

 

写真でいい。食事をさせてくれ。

 

貪るように食べログを検索しまくる。いくつの町のお店を制覇したことだろう。 

youtubeで大食いや料理の動画を検索しまくる。色んな料理の作り方がわかった。漬物の作り方でさえ食い入るように観た。

 

 

そんなアブない荒んだ心を癒してくれたのは、当時2ヶ月ちょいの長男だった。

 

乳児は病室まで来れないので、待合室のところまで行って抱っこする。

可愛すぎる。

日に日に大きくなるこの子を抱っこしている間は、色々忘れられた。はぁ、さっさと腸閉塞なんか治して、家に帰ってオムツを替えてあげたい。

 

 

先生が回診の時に言っていた。

「腸閉塞の原因は小腸に炎症があること。炎症の原因で今のところ可能性が高いのは、ベーチェット病クローン病を一番疑っています。数年前の薬で散らした盲腸ももしかしたら影響があるのかも知れない。がんなんかも一応あり得ますが可能性は限りなく低いでしょう。」

 

ベーチェット病クローン病…。

 

何でしょうそれは?

 

ネットで調べると、難病指定されている。原因はまだよくわかっていなくて、10〜20代の若年層が多く発症するらしい。大腸や小腸の消化器官に炎症ができて腸閉塞を起こしたり、目に異常をきたしたりするが、これといった治療法はないという。

言われてみて思い出した。学生から新卒の頃、結節性紅斑になったことが2度あった。両足全体がねんざしたみたいに腫れ上がって痛い。足の裏もそうなるから歩けなかった。結節性紅斑もクローン病の症状の1つだって。それを先生に言ったら、なるほどね、と言っていた。

 

寛解期であれば普通に生活も仕事もできるけど、完全に治すのはとても難しい、と。

 

うーーーん……

 

喫煙も暴飲暴食もしてないんだけどなぁ…。

 

まあ、直ちに死んじゃうような病気じゃないみたいだし、高校生の時にやったギックリ腰以来ずっと抱えてる腰痛はもう一生もんだと諦めていたし。もう1つ抱えるモノが増えるってことで。嫌だけど、まあ今後じっくり考えて慣れていこう。

 

そんなことがわかってから、ますます長男を抱っこする時間は、色々忘れさせてくれるかけがえないものになった。

 

 

 

 

 数日経ったある日。

 

少し早めに、この間羞恥心を置いてきた大腸カメラでの生検の結果が出た。

 

先生がいつも通りベッドに来たけど、ちょっと別室に行きましょうと言った。いつもならその場で話すのに…。