-4- サイレン。
大通り沿いにあるウチのマンション、救急車のサイレンがいつもうるさくて仕方ない。
でも今夜のサイレンは僕を迎えに来てくれた正義の味方参上のテーマ。
救急車呼ぶ前に救急病院に自分でいくつか電話してみたけど、どこも受け入れはできない、明日朝外来に来て下さい、の繰り返しだった。
救急車の中。
救急隊員の人が病院に連絡する。1件目で受け入れOKとのこと。流石だわ。流石プロ。
そこからが、長かった。
病院に着いて、フラフラ歩いて待合室のイスに座る。救急隊員のお兄さんが受付してくれた。夜間外来で順番待ちするとのこと。
どのくらい…?
「うーん、たぶん2時間ぐらい?」
待合室は夜だというのに満席。ワイワイ賑やか。結構みんな、元気そうだけど…。
最初は普通に座っていたけど、自然とズルズル体がズレていく。
完全にヘンな人だ。
待合室から離れて、薄暗い廊下にあるベンチに移動。ここなら横になれる。合間にトイレでゲーゲー吐く。やっぱり緑色だなぁ。
……。
どのくらい時間経ったかな。
うん、3時間経ってる。
もう知らん。本格的に寝てやる。
その時、聞き覚えのあるおばちゃんの声。
ウチの両親だった。
生後2ヶ月の長男を連れては病院に来ない方がいいと言われた奥さんから連絡受けて、高速飛ばして1時間かけて来てくれたらしいが、ベンチに転がってた息子を見て軽くショックだったと後で聞いた。
それからまた暫くして、看護師さんに名前を呼ばれた。
軽く問診を受けて、応急処置室のベッドに寝かせてくれた。栄養失調になってるからと言われ点滴された。今思えば、記念すべき1発目の注射。
そのまま明け方まで寝ていた。
栄養剤点滴してもらって、何だか体が楽になったような気がする。まともに喋れるようになった。
これ、何の病気ですかね?
「胃腸炎だね。」
あぁ〜、やっぱりそうなんですね。
「入院してもいいけど、週末ってベッドに空きがなくてね。まあ、今日はとりあえず外来の予約取って一旦帰ってまた来てよ。家族にうつるから隔離してね。水分はよく摂るように。」
親の車で帰宅。
多少元気になったけど、うー、吐き気は変わらず。
あ、緑色のこと言ったっけ……。
その翌日の朝、外来へ。
「レントゲン撮りましょう。夜間救急では撮れなかったみたいだから。」
板に向かって息吸って止めてハイチーズ、パシャ。
今思えば、記念すべき1枚目。
処置室のベッドで待っていた。
水分補給を忘れずに水を飲む。
「すぐこのまま入院して下さい。腸閉塞です。水分は厳禁なので絶対に飲まないように。」
え?
すぐ入院?
いや、それよりも、水厳禁?
マジか。